2005年5月に読んだ本
4月は冊数は少なめでした。
なんと5月はさらに少ない。たった3冊です。
どうも、私の中でブームがあるんですよね。読み終わると次!次!って
どんどん読んでしまう時と、しばらく本さわってないなーっていう時と。
センセイの鞄 川上弘美 | 7.0カラット |
ドラマ化もされた割とメジャーな作品。2001年度谷崎潤一郎賞受賞。今更だけど、図書館で見かけたので借りてみた。38歳のツキコと60代のセンセイの静かでゆったりとした、でも情熱的で、せつないラブストーリー。ツキコは独身、センセイは妻を亡くしているので不倫でもなんでもない、正々堂々とした恋人同士。潔癖症の私の母なんかだったら、中身も読まず「信じられない!」といいそうだが、でも60代で恋愛をする先生はちっともぎらぎらしていない。清潔で美しい純愛だ。 だけど、この愛が切ないのはアポロへの愛がせつないのと似ている。センセイは絶対に絶対にツキコより先にいなくなってしまう。それがわかっていながら、二人は静かに静かに愛を育んでいく。現実にこんなことがあるんだろうかと思うけど、私は60代の男性に恋をすることなんてないとも思うけど、でも現実にこんな二人がいたらとても素敵だ。 チャップリンの名作「ライムライト」を思い出した。 ところで、作品の中には、二人でお酒を飲むシーンがとても沢山出てくるのだが、それが何とも美味しそう。つまみも美味しそうで、その店どこにあるの?と聞きたくなる。どこかのサイトで「センセイの鞄」に出てくるつまみのレシピをUPしてるところがあったくらいだ。 ドラマではツキコは小泉今日子、センセイは柄本明。柄本明は若すぎる気がするけど。どうだろう? |
リビング 重松清 | 6.8カラット |
久しぶりの重松清。やはりこの人はホントに上手い。はずさない。 読んだ後に調べたらこの作品は「婦人公論」に一年間連載された12編の短編だそうだ。季節も雑誌の号に合わせたり、短編の内容も雑誌の特集に関係付けたりしたそうだから、恐れ入る。ただ、そのせいか「技術やさん」的な印象をちょっと受けた。テーマもはっきりしていて、どれも最後にちょっと「じん」とさせる。DINKSの夫婦と隣の子供のいる家族を描く「隣の花園」が春夏秋冬に一回ずつ出てきて、最後にそれなりのエンディングにしているところなど「本当に上手」と感服。私は両親の離婚によって姓が変わる子供を描いた「もっちん最後の一日」が好き。 でも、「流星ワゴン」「ナイフ」のようなパンチが無いと思うのは私だけ?重松清の作品には、はずれがないけど一番すきなのは「流星ワゴン」かな。 |
どうぶつたちへのレクイエム 児玉小枝 | 9.0カラット |
この本が今までの最高カラットかも。反則かもしれません。これは「番外編」にしたほうがいいのかも。 動物保護センターで「処分」される前の動物たちの、胸が締め付けられるようなせつない美しい写真集です。残酷な写真は一枚も無く、皆かわいいきれいな瞳でカメラを見つめています。そして、最後にこう書かれています。「この子達はもう一匹もこの世にいません」犬41万4506猫30万7626。1995年1年間で「処分」された命の数です。10年後の今年、少しでも減っているといいのですが。 多分、今ワンコを飼っていて愛情を注がれている方には充分わかっていることなので、今更この写真集を見る必要は無いかもしれません。ワンコ好きだったらもうたまらないくらい悲しいから「是非お読みなさい」とは私には言えません。悲しくて、悔しくて、自分の無力さをしみじみ感じてしまうのです。 ですから、今ワンコを飼っていないけどいつか飼おうかな、と思ってる人や自分の子供が「わんちゃん欲しい!!」と言ってるけどどうしようかな、と思ってる人に読んでもらいたいです。それから、小学生や中学生の子供たちに。 前に日記にも書きましたが、保健所や保護センターで「処分」される動物たちは決して「安楽死」ではありません。窒息死です。苦しんで苦しんで死んでゆくのです。ああ、でも皆さんは一番心を痛めてくれている人たちなので、もっと違うところで言わなくちゃね。 |
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